第1章 君の中に墜ちる
「でも…それだけなんです…好きになろうと努力はしているんですけど駄目で…相手の気持ち利用して…私は卑怯、です…」
「努力するものではないだろう」
「そう、なんですけど…ごめんなさい…せっかく大倶利伽羅に無理を言ってまで命を繋げて貰ったのに…何やってるんだろう」
大倶利伽羅のお陰で生きていられるしこの本丸に居られる。その上、理想の相手との結婚話が舞い込んだのをいいことに、相手の気持ちを利用して大倶利伽羅の事を忘れようとした…
それがうまくいかなくて破談することを選択しようとしている…あんないい人に期待させるような態度を取って…結局は傷つけることになる。本当に最低だ…
「俺は別に無理をしたわけではない」
「いえ…私ちゃんと分かってますから…」
勘違いしてはいけないのは分かっている。
大倶利伽羅は優しいから、あの夜はあくまで私に同情してくれただけ。
もしかしたら私の為ではなく他の刀剣の為に、…主を失わないで済むようにって考えた末だったのかも知れない。
「大倶利伽羅には本当に感謝してもしきれません。ありがとうございました…」
彼に深々と頭を下げると、大倶利伽羅は「やめろ」と言った。