第1章 君の中に墜ちる
岡田さんと会う時は鞄の中で密かにずっと私の護衛をしてくれていた不動。刀の姿でも周囲の音や会話は聞こえると言っていた。表情は見えなくても私の声のトーンとかで、奥底にしまってあった気持ちに気付いてしまったのだろうか。
「主がどんな考えで岡田って男と会っているのかまでは俺にはわからないけど、俺は主には幸せになって欲しいんだ。心の底から笑っていて欲しいって思ってる」
「…」
「差し出がましい事言ってるよな…」
「ううん、そんなことない…」
「俺は…主のおかげで過去の思い出を吹っ切る事ができた。主のおかげで立ち直ることが出来たんだ。…主には、俺みたいに後悔するような思いはして欲しくない」
「うん…わかるよ…わかるけど…」
岡田さんと一緒に居るとき、私は決して無理をしていた訳ではない。会話も楽しいし何より審神者同士話も合う。この人となら、と本気で思った。
だけど、段々距離が近づいて岡田さんが男の顔をみせた時、心のどこかで嫌だ、と思ってしまっている自分に気付かないふりをしていた。…それを不動は見破っていた。
「…敵わないなぁ」
溜息を吐きながら呟くと、不動は「なんなら今日は…飲むの付き合うかい?」と眉尻を下げながら困ったように笑った。