第1章 君の中に墜ちる
抱き締められた時の肌に伝わる感触や温もりが違う…比べるつもりなんて全然ないのに、どうしても…何かあるごとに心に浮かぶのは大倶利伽羅の姿だった。
「主…」
「どうしたの?不動?」
「うん…言いにくいんだけどさ…」
「あ、もしかして刀のまま鞄に入れられてるの苦しかったりする?ごめん、そうとは知らず毎回不動ばかり連れ出してしまって、甘え過ぎちゃったかな」
「いや、そうじゃないんだ…」
5度目のデートの帰り道、鞄に入っていた不動を元に戻して一緒に歩いていると、不動が突然腑に落ちないというような顔をして話し掛けてきた。
「岡田って男と会っているときの主は、…なんか無理してるような?…楽しそうにはしてるんだけど、心の底から笑えてないっていうか、そんな気がするんだ…」
「え…」
「俺の思い過ごしならそれに越したことはないんだけど。……主は、もしかしたら…他に想い人がいるんじゃないのかなって…俺にはそう見えて…」
「い、いやいやいや…不動ったら何を言い出すかと思えばっ急にどうしたの?」
不動の唐突な言葉に動揺を隠せない。
「急じゃない…ずっと思ってた。…もし俺の言う通りなら自分の気持ちに正直になった方が、」
「そんな人いないっ!」
確信をつかれてつい誤魔化すように声を張り上げてしまった。