第1章 君の中に墜ちる
お酒も付き合ってくれないんだ…
慣れ合うつもりはないってやつか、わかってはいたけど、悲しかった。
感傷に浸りながら飲んでいたせいもあり、恋い焦がれている相手に断られた事が無性に悲しくて、つい去って行く大倶利伽羅の背中に向かって口走ってしまう。
「私明日お見合いするんです」
大倶利伽羅は私に背を向けたままピタリと足を止めるけど何も言わない。
でも立ち去らない辺り、話は聞いてくれるんだと思った。そういうところが優しい。
「相手の人、政府幹部の息子さんで、彼と結婚したら将来安泰だし幸せになれるんだって…」
「…」
「大倶利伽羅もそう思う?」
「…俺に聞くな」
それだけ言って大倶利伽羅は行ってしまった。
当たり前だ、大倶利伽羅にしたらどうでもいいことなんだろう。私は何を期待してあんな事を言ってしまったのか…
段々と目に涙が滲んで小さくなった大倶利伽羅の背中もぼやけて見えなくなった。
――次の日、こんのすけと歌仙に見送られて、私は予定通りお見合いに出席した。
護衛として、鞄の中に刀の姿の、顕現を解いた状態の不動行光が同行してくれている。修行後、お酒が抜けて帰って来た彼は、過去から逃げることがなくなり私にとってそれはそれは頼もしい存在となっていた。