第1章 君の中に墜ちる
大倶利伽羅を想うのも今日までにしよう…明日からはちゃんと相手の人と向き合おう。
相手の人をこれから沢山知って、好きになって…ちゃんと恋をして、結婚をするんだ。
実感なんて全然湧かないけど、自分にそう言い聞かせながら執務室前の縁側、大倶利伽羅がいつも腰掛けていた場所でアルコール濃度高めのお酒を口にしていた。
この本丸に皆といられるだけで私は幸せだし、これ以上のことを望んではバチが当たる。この本丸に審神者としていられること自体が奇跡なのだから。
…だからこれでいいんだ。
「きっと、忘れられる…大丈夫…」
「何がだ」
「…っ!お、大倶利伽羅っ」
なんの気配もなく背後から突然降ってきた声に思わず体が跳ねる。ついでに手に持っているお酒も落としそうになり慌てふためいた。
そんな私の様子をいつもと変わらぬ表情で見下ろしている大倶利伽羅。
いつからいたの…?
「こんな所で飲むな、風邪を引く」
「大丈夫ですよ。……あ、良かったら一緒に飲みます?大倶利伽羅の分も直ぐに取ってくるからちょっと待ってて」
「俺はいい…あんたも早く寝ろ」
そう言って大倶利伽羅は私から離れていく。