第1章 君の中に墜ちる
大倶利伽羅の穏やかな顔や、不器用な優しさを垣間見る度に…彼を知る度に心臓が苦しくなる。
そしてあの夜の彼の温もりと私に触れる優しい手。大倶利伽羅は私を好きで抱いたのではないことは百も承知のはずなのに、度々思い出しては切なくなる。
――何度も諦めようと頑張ったけど無理だった。
このまま想っていても苦しいだけなんだと思う。
相手の審神者さん、話しやすかったし感じのいい人だった。彼みたいな人と恋をした方が良いに違いない…
「どうですか?あんず様」
「あ、…うん、前向きに考えてみよう、かな…」
「本当ですか!?それは先方もさぞや喜ぶことでしょう!周りの評判も良い方ですしきっと、いえ、間違いなく!幸せになれますよ!」
こんのすけは「これから忙しくなりますよ~!」と大層嬉しそうにしながら執務室を後にした。
静まり返った執務室で、もう一度相手の写真に視線を向ける。
爽やかな笑みを浮かべている男の上に重なって映るのは、やっぱり大倶利伽羅の、恋い焦がれている刀の穏やかな顔だった。
…
…
明日はいよいよお見合い相手との顔合わせ。
あまり大事にはしたくなかったので、このことは一部の刀にしか知らせていない。