第1章 君の中に墜ちる
「審神者としての地位、か…」
「はい!結婚してもこの本丸は続けられます。何よりあんず様の事情も全て把握なさった上であんず様がよいと仰ってくれているのは大変喜ばしいことですし、願ってもない話だと思いませんか!?」
「把握してるのに?…それは…何というか…変わってるというか…物好きな人もいるものね…」
「何を仰いますか!それ程あんず様に惚れておられるということですよ!」
そう言われても全然ぴんと来ない。それどころか好意をもたれているという事に、普通なら少なからず嬉しく思うことが今の私には何も感じられない。
でも…事情も全て分かっている上で私がいいといってくれているなら、今後その事について揉めることもないだろう。
審神者としての地位なんてどうでもいいけど…結婚するのも有りなのかも…まるで他人事のように考えている自分がいる。
そんな事を考えながらも…頭の隅には、ある刀の姿が常に浮かんでいた。
──大倶利伽羅
いつの間にか、私は恋に落ちていたようだ。叶うはずもない恋に…
まさか刀に恋をしてしまうなんて思ってもみなかったし、それがはじめての恋だったから気付くのに時間がかかってしまった。