第1章 君の中に墜ちる
――そしてその日から、いつも目の届くところにいた大倶利伽羅を見ることはなくなった。
それどころか連日の出陣を願い出た大倶利伽羅は、本丸にいることも少なくなり、その姿を見ることもほとんどなくなった。出陣時と帰還時に無事を確認する以外は。
「あんず様~!こっちこっち-」
「待ってよ、早いよ~」
「これです!このお饅頭がとても美味しいんです」
「ほんとだ、凄く美味しそう!お土産に沢山買っていこうか」
「やった~」
重要書類がやっと片付いた、皆にはそう伝えて今日は秋田と万屋に買い物に来ていた。
久しぶりのお出掛け。つい数週間前まではこんな風に外を歩けるなんて思ってもみなかった。これも全て大倶利伽羅のお陰だ。
「あんず様、本丸に帰ったら次は隠れ鬼ですよ?」
「うん、約束してたもんね!いっぱい遊ぼうね!」
「えっと、隠れ鬼の後はトランプも!」
お饅頭を沢山買って、二人両手に荷物を一杯抱えて笑顔で本丸に帰る。
とても幸せなはずなのに、大倶利伽羅がいつもいた執務室前の縁側につい目をやってしまって、そして姿がないその場所を見ては寂しくなるのは何故だろう…