第4章 心の縁-よすが-《前編》
乱があんずを抱き上げてそう言うと、今剣がはしゃいでぴょんと跳ねる。あんずは訳も分からないまま、真ん中に引き込まれる。
「いい?おちびちゃん!十、かぞえるんだよ!」
「うん、えっと……いーち、にー……さーん、しー」
言われた通りあんずは指を折りながら必死に数える。短刀たちはすぐ見つかる柱の後ろや、同じ部屋の押し入れに身を隠す。
「みいーつけた!」
「ちっきしょー!」
その様子を、少し離れた柱の陰から大倶利伽羅が見ていた。「…騒がしい」そう呟きながらも視線は外さない。
「ほらほら〜、そこ危ないよ!」
「走りすぎー!」
短刀たちは遊びながらも自然にあんずを囲み、誰かが必ず転んでも受け止められる位置に立つ。そしてあんずが転びかけると、「おっと!」「だいじょうぶ?」そんな声とともに一斉に手が伸びる。
「…ふん」
遠くからそれを見ていた大倶利伽羅は、満足そうに小さく鼻を鳴らした。
「わぁ……!」
あんずの目の先にもふもふした動物が目に入り、思わず声が漏れる。五虎退の足元には小さな虎たちがちょこんと並んでいる。日向ぼっこをするように丸くなったり、尻尾を揺らしたり。