第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「え、そ、それはっ」
「まあ、最後まで聞いてくれよ……どうして記憶がなくなったのか、ずっと政府が調査していたんだ。それでこんのすけから調査結果を聞かされた後、和泉守が泣いてるあんずを抱きしめてるのを見ちまった。その後……話があると言われたあの夜だ、別れ話をされると思った。だから試したんだ。きみは俺にまだ気持ちがあるのか、受け止めてくれるのか……だがきみは俺を拒絶した。――だから離れた。きみから言われるより自分から言ったほうがましだと思ったからさ…」
「鶴ちゃん…」
「間違ってた…俺はきみに、思い出せなくてもあんずはあんずでなんら変わりはない。だから思い詰めるなと言ってあげればよかったんだな。思い出せなくても俺はきみの傍にいる。――きみを愛しているから。……最初からそう言っていれば…」
「っ、ち、違うの!私は……鶴ちゃんが私に対してもう気持ちがないのかと思って、苦しくて悲しくて……それで忘れたいって思っちゃったの……!まさか記憶がなくなるなんて思いもしなくて…………本当にごめんなさいっ」
「っ、…――すれ違いもいいとこだな。そうか……そうだったのか……」
そう呟いたあと、鶴ちゃんはしばし黙り込んだ。そして――その瞳がゆっくりとこちらを捉えた瞬間、息が止まる。