第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「いや、誤解されても仕方ない……でもまあ、参ったな……きみがそこまで思い詰めていたなんて思いもよらなかった」
全てが誤解だったんだとわかった途端、瞳に涙がにじむ。それを見て、鶴ちゃんは小さく息をのんだ。
「……おいおい、泣くなよ」
そう言いながらもどこか不器用な手つきで、そっと私の肩を抱き寄せる。ふわりと香る懐かしい匂いに、胸の奥がきゅっと締めつけられた。
「泣かせるつもりなんて、なかったんだがな……」
低く呟く声は、耳元でやわらかく震える。彼の手が私の背中をゆっくり撫でるたび、こらえきれなかった涙が頬を伝って落ちた。
しばらくそうしていたが、鶴ちゃんは私を抱き締めたまま、静かに話し始める。
「……なぁ」
彼は一度、言葉を飲み込むように喉を鳴らした。
「どうしたの……?」
「…今度は俺の話を聞いてくれるかい?」
その声は、責めるでも、笑うでもなかったが、優しさの奥にどうしようもない寂しさが滲んでいるように感じた。
「終いだ、とあの時は言ってしまったが…あれはあんずが俺のことを忘れたくて忘れた、と、そうこんのすけから聞かされたからなんだ…」