第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「ああ……あれか…確かにきみは、珍しく随分と酔っぱらっていたなあ」
「だ、抱いてほしくて……お酒の力を借りたの……だけど鶴ちゃんは私を拒んだ――」
絞り出した声は、震えていた。 私が言い終えた後鶴ちゃんは驚いたように目を見開き、それから静かに息をついた。
「あの夜に限らず、あんずの顔色が悪かったから手を出せなかった。…――きみを初めて抱いたあと、きみが歩けなくなって…その上熱を出しただろ…あの時は俺が急ぎすぎたせいだと思った。それで抱くのが怖くなったんだ。またあんずの体が酷くなるくらいなら、体を求めなくても傍にいられるだけでいいと思った」
「……っ」
「だがあんずの傍にいると触れたくなる。抱きたくなるんだ…きみを前にするだけで独占欲が溢れて止まらなくなりそうだった。……だから距離を取った…すまなかった…」
「謝ってたのは、それが理由……だったの…」
「今思えば…具合が悪かったのも霊力の枯渇とやらのせい、だったんだな……」
「全部私を想ってのことだったの……?それなのに私っ……嫌われたと思って、他に好きな人が出来たと思い込んでっ」