第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「写真に写っていたのは俺じゃない。…それは別の本丸の鶴だ」
淡々とした声に、嘘の影はひとつもなかった。彼の瞳は、いつだって正直だ。
「あの娘、他の本丸の審神者でな。別の俺に恋してるんだ。……滑稽だろ、俺がその相談に何度も乗ってたなんてさ。何もないにしても、あんずがいい気はしないんじゃないかと思って伏せていたんだ。すまなかった」
不安にさせたくなかったんだ…鶴ちゃんが言う。何でも自分も審神者と恋仲だから応援したくなったそうだ。それならそうと言ってくれれば私だって誤解せずに済んだかもしれないのに。
「――そうか、ならあの娘、恋が実ったんだな」
「…そう、だったの…私…誤解してた……あの夜も…鶴ちゃんに拒まれて、だから…もう私のことなんて好きじゃないんだって……そう思い込んでた」
――あの夜。不安で不安で仕方がなくて、鶴ちゃんの気持ちを知りたくてお酒の力を借りた。少しでも心の距離を近づけたかったから。
けれど彼はそっと肩を押し戻し、部屋を出ていった。それが拒絶のように感じた。
「あの夜……?いつだ?」
「私がお酒を飲んで……酔っ払ったあの宴の夜。鶴ちゃん、酔った私を部屋まで連れて行ってくれたでしょう?」