第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
真剣な眼差しで見つめてくる鶴ちゃんにもう誤魔化しはきかないと悟り、私はいつか見かけた簪を選んでいたあの日のこと、写真のことを吐き出した。
すると鶴ちゃんは驚いた顔をする。
「簪か…確かにそれは俺だ。だがそれは……あんずにプレゼントするために選んでいただけだ。きみが俺に内緒で着付けを習っているのを知って…それで着物を着られるようになった時に贈ろうと…」
「……彼女の髪に、触れてた」
「髪の色がきみと似てたからな。あんずに似合うかどうか、確かめたかったんだ」
「そんな……鶴ちゃんがあまりにも愛おしそうにしてたから…私てっきり…」
「ははっ、それはそうだ、あの娘にきみを重ねていたんだからな」
鶴ちゃんは少し照れくさそうに笑った。そしてこの際だ、他にも聞きたいことがあるなら何でも聞いてくれ、と言う。
「じゃあ……写真に写っていたのは……」
「ん?写真ってなんだ?」
「写真に……肩を並べて幸せそうに歩いてる鶴ちゃんと、その彼女が写り込んでいたの…鶴ちゃん、あの頃一人で外出することが多かった。本当はその人に会いに行ってたからなんでしょう……?」