第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「……ごめ、ごめんなさい……私があなたの体調をちゃんと把握していれば怪我をさせることもなかった…っ…私のせいでっ、私のせいなの……ッ」
「…いや、きみのせいじゃない」
「違うっ!、てっきり私……鶴ちゃんはあの人と幸せになってるかと、思い込んで……だから…っ、」
感情的になりつい口が滑ってしまい、あの想い人のことを言ってしまうと、鶴ちゃんは小首をかしげ、ほんの少し眉を寄せた。
「ん、あの人?いったい誰の話だ、」
「え、その……言いたくないなら言わなくても…」
「言いたくないも何も、話が全く見えないんだが……」
鶴ちゃんのその表情には、心底わからないという戸惑いがにじんでいる。
予想外の反応をされ、私も訳がわからなくなり、手入れ後とはいえこんな時に話すことではないと思い、何でもないから今はゆっくり休んで、と誤魔化そうとしたけど、鶴ちゃんは納得がいかないようだった。
「はは、なんだなんだ、俺の知らないところで話が進んでるのか?」
口調は軽い。けれど、金の瞳がじっとこちらを見つめるその様子には、冗談とは違う真意が潜んでいる。