第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「悪かったな。……でも、こうしてまたきみを驚かせられたなら、俺としては満足だな」
「そんな驚きなんていらないっ!」
声が震える。嗚咽の合間に、彼の笑い声が少しだけ響いた。……良かった。大事にならなくて……そう思ったのも束の間、――生気の抜けたような顔――和泉守さんが言っていた言葉を思い出し、後悔が押し寄せる。
彼が怪我をしたのは、体調を把握せずに出陣させてしまった私のせいだ。
「ごめんなさい……っ……鶴ちゃん……気付いてあげられなくてっ、本当にごめんなさいっ」
「何をそんなに謝ることが……は、……――ッあんず、まさか記憶が!?」
急に鶴ちゃんが血相を変えて身を乗り出す。私が鶴丸さんではなく、鶴ちゃんと呼んでいることに気が付いたようだ。
「記憶が戻ったのかっ!」
泣きながら頷く私を見つめながら、鶴ちゃんは小さく「そうか」と安堵したように呟いた。どうしてこんなときまで、私のことを気遣ってくれるんだろう――その優しさが、余計に涙を誘う。