第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
彼が涙を流すほどに傷つけてしまった……だけどきっと、彼を縛り続けているよりは……これでよかったんだ…と思う。
これからは鶴ちゃんも言っていたように、主とそれに従う刀でそれ以上でもそれ以下でもない…
きみの刀でいたくない…って言われなかっただけまし。
「ねぇ、蜂須賀さん。お願いがあるんですけど…あの、鶴ちゃんがあの人、想い人のところにすんなり行けるようにするには、皆にどう説明すればいいかな…なんて…」
「っ!!正気かあんず!それはあまりにも、」
血相を変え反論しようとする蜂須賀さんを宥めながら、私は言葉を続ける。
「いいの、私がそうしてあげたいんです。だからお願い…」
「………結局あいつだけがいい思いをするということか…くそっ!」
「それは違う!鶴ちゃんもこれ以上ないくらい苦しんだ…だからそんな風に言わないで下さい…」
「…あんずが望むのなら俺は何でも叶えてあげたい……だがこれはあまりにも…、俺は到底許せない…」
「……好きな人には、やっぱり幸せでいて欲しいから……だからお願いします…」
私が頭を下げると、蜂須賀さんは目を見開き唇をぐっと噛み締めた。