第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「っ、悔しいが……主から別れを告げたことにすれば…皆も鶴丸に同情する、はず…」
「なるほど…そう…ですね!それなら鶴ちゃんが想い人のところに行ってもきっと責められない…流石、蜂須賀さん頼りになります」
私がそう言うと、蜂須賀さんは怒りを抑えるかのように、握っていた手にぐっと力を入れた。
「あんず…色々と思うことはあるが……俺としては鶴丸と別れて良かったと思っている…」
「…はい…そうですね………私も…そう思います…」
その言葉を皮切りに、蜂須賀さんは鶴ちゃんのことに触れることはなくなった。
その後蜂須賀さんがそれとなく伝えてくれたのか、私が鶴ちゃんを振った、ということが皆に伝わっているようだった。
どんなに苦しくてもいつも通り日は昇り一日が始まる。
鶴ちゃんを見るとまだ胸が締め付けられるけど、仕事に没頭していると気が紛れた。
日を追うごとに悲しみは多少薄れたけれど、私の中の鶴ちゃんとの思い出は、決して色褪せることはなかった。