第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「…だがっ!記憶を失くしたのも、こんのすけは高熱のせいだとほざいていたが、本当は…あいつのせいでもあるんだろう!?何故あんずばかり辛い目に遭わなければならないっ!俺は納得できない…ッ!」
蜂須賀さんはあの夜のことは知らないけれど、鶴ちゃんに私とは別の女の人の存在があるということは知っていた。
鶴ちゃんがその女の人を見る眼差しを思い出しただけで、今でも胸がキューっと圧迫されたように痛くなる。
鶴ちゃんが望むなら、あの人のところに行かせてあげたいとあの晩思った。審神者として彼の傍に居られれば良いと。それなのに私は自分の弱さから、全部忘れられたら楽なのにと願ってしまった。
本当に全部忘れることになるなんて想定外だったとはいえ…そのせいで鶴ちゃんを卑怯な形で引き留める事になったのは事実だ。
結果…鶴ちゃんは私を見限った…
これは自分が招いた結果。自業自得だ。ただ…不思議なのは…鶴ちゃんが私が自分から記憶を無くしたいと願ったことを知っていたこと。
何故知っているのかは分からないが、理由がわかったところで今更何の意味も為さない。