第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
ポタリ、ポタリとまた落ちてくる涙。
頭の理解が追いつかなくて硬直してしまっていると、雨が降ってきたのか窓の外から雨音が聴こえてきた。
サアアァァァァ…―
「…っ!!」
雨の音を耳にした次の瞬間、今までの記憶であろう断片が突如として脳内に雪崩のように押し寄せ駆け巡った。
――それは記憶を失くす前の鶴丸さんとの記憶。
「ぁ…――つ、る…、」
今までの記憶が押し寄せる状況に、声を詰まらせ彼の名を呼ぼうとすると…
思い詰めたような顔をした鶴丸さんが絞り出したような声で言葉を発した。
「――もういい…終いだ…」
「っ!」
「…終いにしよう……もう、たくさんだ…最初から無意味だったんだ」
「待って…つるま、」
「――これからは俺ときみはただの主とそれに従う刀…それ以上でもそれ以下でもない」
静かに告げた彼は、腕で涙を拭った後それ以上何も言わず私の部屋を去った。
「つる…ちゃん…」
彼との記憶を思い出した時にはもう…手遅れだった。…いや、あの夜以前から元々手遅れだったのだ。
――その日から鶴ちゃんが私のところへ来ることはなくなった。