第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「私…もう……記憶が戻らなくてもこのまま一緒にいられればそれでいいかも、なんて自分勝手に考えてました…」
「……別にそれでもいいじゃねぇか…何が駄目なんだよ…記憶が戻らねぇならまた1から作ればいい話だろ…」
「それじゃ駄目なんです…このままじゃ鶴丸さんに合わせる顔がない…」
「っ……な、んだよそれ…」
和泉守さんは「そんなになるまで辛いならもう思い出そうとするな」「もういいっ」と、そう言いながら私をギュッと力強く抱き締めた。
◇◆◇
「鶴丸様…少し、お時間宜しいでしょうか…」
突然俺の部屋に訪れたこんのすけ。
直接訪れる事なんて滅多にないので何かあったのか、と尋ねると、こんのすけは少し言いづらそうに目を伏せながら、ぽつりぽつりとゆっくり話し始めた。
「…かねてより政府に依頼していたあんず様の記憶の件ですが…」
「何かわかったのか!?」
あんずの記憶を取り戻そうと奮闘していた俺だったが、今一つ効果がなく行き詰っていた。
俺との記憶だけがない、と知らされたときは最初こそは言葉で言い表せないくらいショックだった。だが、それよりもあんずが俺の傍にいてくれるのが何よりも大切だと気付いた。