第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
鶴丸さんが私から離れるなんて…
そんなの…――嫌だ
鶴丸さんに嫌われたくない、そんな一心で、次の日は朝餉の時に私から鶴丸さんの隣りに座って、皆に聞こえないように昨晩のことをそっと謝った。
「昨晩は、あんな態度取ってしまって…ごめんなさい…」
「きみが謝ることじゃない…俺が悪かったんだ」
「いえ…良かったら…これからも私に付き合ってもらえますか…?」
「っ、いいのか?……なら…俺はきみが記憶を取り戻すまで…きみが、俺に完全に心を開いてくれるまで手は出さないし、きみが嫌がることは決してしないと約束する」
また鶴丸さんと同じ日々を過ごせることが嬉しかった。
だけど…現実はそう甘くはなかった。
――どれだけ一緒に過ごしても、どれだけ思い出そうと頑張っても、やはり記憶だけは戻らなかったから…
「最近仲良くしてるみたいじゃねぇか」
「和泉守さん…」
「良かったな。この調子なら思い出すのも時間の問題じゃねえか?」
「…」
「……?なんだよ、そんな不安そうな顔して…」
少し前の私ならきっと前向きな発言が出来ていたと思う。でも、今の私の心境はとても複雑だった。