第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「あ、待って!私が持って行きます」
せめてお片付けだけはさせて欲しいという思いで、お盆に手を掛けると、鶴丸さんの手に自分の手が少しだけ触れた。少し触れただけ、それだけなのに心臓が大袈裟な程に飛び跳ねる。
勝手に心拍数が上がって、心の奥から熱が湧き上がってくるのを感じて思わず顔を伏せると、鶴丸さんがどうかしたかい?と私の顔を至近距離で覗き込んできた。
「な、なんでもないです!」
「そうか?」
前から思ってはいたことだけど…鶴丸さんはちょっとしたことで距離がもの凄く近い。自然に私に近づいてくる彼を見ていると、想像もつかないが、以前の私達は手くらいは握っていたんだろうか…と考えてしまう。
だって本当に距離感が近い。
今まで想像もしていなかったけど、…キスとか、したことあるのかな……?それ以上のこととか……も?
もしかしたらこの身体に鶴丸さんが触れたことがあるのかもしれない…そして私はそれを受け入れて…――?
「…っ」
そんなことを考えている自分が途端に恥ずかしくなり、急激に顔に熱が集まったのが分かる。そんな私の小さな変化に気付いたのか、鶴丸さんが不思議そうな顔をした。
「ひょっとして……何か…思い出したのか?」