第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
【#4 記憶のゆくえ】
「ここ、覚えているかい?」
「……あ、」
最初に鶴丸さんが私を連れてきてくれた場所は、この間葉月さんと会った甘味処だった。
「っ、ここ…」
「ん?どうかしたか?」
「知ってるんです。でも誰と来たかは思い出せなくて…鶴丸さんとだったんですね…」
「ああ、ここは俺が息抜きと称してきみを連れてきたところだ。初デートってやつだな!あの頃の俺は嬉しそうに食べるきみを見て心底可愛いと思ったんだぜ?」
「え、そうなんですか?恥ずかしい…」
「ははっ…折角だから食べて行くか?」
「でも私財布を持ってきてないですっ」
「いいからいいから」
少し強引に手を引かれ窓際の席に座った。何でもこの場所もその時に座った席だそうで。二人っきりという状況に少し緊張しながら、鶴丸さんが手際よく注文してくれたわらび餅をスプーンで掬って口に含む。
「美味しいです……って、鶴丸さんの分は」
「俺はいいんだ。きみから貰うから」
「へ?」
「あ〜ん」
「ええぇぇっ」
「どうせなら当時と同じように再現したほうがいいだろ?あの時も俺はきみから食べさせて貰ったんだぜ?」
「そ、そんなことって…」