第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
……だけど鶴丸さんを見ると心の奥底で何かぐっと掴まれたような…切なくてどうしようもない気持ちになるのは、きっとそういうことなんだと思う…記憶がなくても、心が、体が覚えているんだ。
「オレはあんたらがどういう時を過ごしてたか詳しくは知らねーけどよ…少なくとも鶴丸の隣りにいるあんたは可愛かったし、何より幸せそうだったぜ?」
「そう、なんですか…?…てっきり…」
「てっきり、何だよ?」
「鶴丸さんとの記憶だけがなくなってしまったのはもしかして…彼と喧嘩してたからとか…もしくは、別れ話が持ち上がっていたからなんじゃないかって…」
「はあ?それはありえねぇよ!あんなに仲良かったくせに…って記憶にねぇんだよな…。ったく!とにかくそんな暗い顔してっとろくなことになんねーぞ。そんなに気になるなら直接聞きゃーいいじゃねぇか」
「でも…そんなこと聞いていいものでしょうか…恋人が自分のことだけ忘れたなんて、私だったら耐えられないです……悲しすぎてやるせなくて相手のこと恨んでしまうかも知れない…それに、和泉守さんが知らないだけで記憶を無くすほどの何かがあったのかも知れないし…そう思うと怖くて…」