第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「わっ!」
「ぎゃぁっ!!!」
蜂須賀さんと別れたあと、一人で私室に戻り襖を開けた途端聞こえた大きな声。全く予想していなかった出来事に、私は飛び上がる程驚いた。
「鶴丸さん!?な、何なんですかっ!びっくりしたじゃないですか!」
「あっはははっ!相変わらずの驚きっぷりだな!」
「もう!やめて下さいっ寿命が縮みますっ!……というか、勝手に女性の部屋に入るのはルール違反ですよ」
「……――」
私が反論した途端さっきまで楽しそうに笑っていた鶴丸さんが、急に口を閉ざし表情を曇らせた。彼がこんな表情をするのは珍しい。もしかしたら言い過ぎたのでは…と謝りかけたその時、鶴丸さんが何とも悲しそうな面持ちをしながらポツリと呟いた。
「部屋ならいつも入っていたんだがなあ……驚き方は前と何一つ変わらないのに、きみは本当に忘れてしまったんだな……」
「えっ、?」
「っ!いや、何でもない……勝手に入って悪かったな……」
いつも入っていた、と鶴丸さんは言ったけど、そんな記憶は何一つない。あるとすればあの日、目覚めたときに鶴丸さんが部屋にいた事。でもあの日一度だけならいつもとは言わないはずだ。