第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「記憶障害…?――やっぱり何か引っかかると思っていたんです…」
「政府の方で現在調査中ですが、恐らく一時的なものだと言っておりましたから、きっとその内何もかも自然に思い出す時が来ると私は信じています。近々健診もありますからそんなに深く考えずにあんず様はいつも通りお過ごしくださいませ」
「…わかりました。そうですよね……記憶とかって、無理に思い出そうと頑張れば頑張るほど思い出せなくなる、とか聞いたことがあります……こんのすけの言う通りあまり思い詰めないようにします」
「そうですよ!自然に任せましょう!」
その時はこんのすけに心配かけないように振る舞うのが精一杯だったけど、心の中は不安で仕方がなかった。
そんな不安を抱えたまま検査の日を迎えた。
過去のことや数日前のことなどの問診に加えて、体の精密検査もした。その後、CTも脳波も全て身体的には問題ないと言われホッとしたものの、もしかしたら今回の検査で少しでも何か分かるんじゃないかと期待をしていただけに、結果を聞いたときには残念な気持ちで一杯になった。
相変わらずぽっかり穴が空いた記憶に関しては原因不明のまま…。