第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
その後こんのすけが政府に連絡し、内密で原因調査が始まった。俺が飲むはずだった記憶操作の薬も政府に引き渡した。
「……鶴丸」
これからあんずにどう接すれば良いものか、と逡巡していると後ろから声がした。この声と気配は蜂須賀だ。
「あんずの記憶のことを聞いた……」
「そうかい…」
「頼みがあるんだが――無理に思い出そうとせずにそっとしておいてもらえないか」
「…俺も今そのことを考えていた」
「あんずの体の負担を考えると無理に思い出させるのはどうかと、いや…この際だからはっきり言わせてもらう。いっそのこと俺は思い出さなくていいと思っている」
蜂須賀の突然の言葉に俺は目を白黒させる。
思い出さなくていいとは一体どういうことだ。蜂須賀は俺とあんずの事を良く思っていなかったのか…?
「何故だ」
理由を聞くと、急に睨みつけてきた蜂須賀は、さっきとは打って変わって物凄い形相をしながら俺に掴みかかってきた。そして胸ぐらを掴んだまま吐き捨てる。
「何故?お前がそれを聞くのか!理由なぞわかっているだろう?お前はっ!お前は!あんずがいながら…――ッ」
「っ、…は?……あんずがいながら、…なん、だ」
「っ!……」