第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
こともあろうに恋仲の相手に俺は残酷な選択をさせた…それなのにその件を忘れてのうのうと彼女に接するなんて。そんなことは出来ない。俺はあんずの痛みを背負って生涯愛し続けるとあの晩に誓ったんだ。
「そんなことより!あんずは何故俺との事まで記憶にないんだ!?」
「鶴丸様の…?そんなはずは……もしかすると……薬の効果で記憶が多少混乱しているのかも知れませんね…」
「混乱?――だといいんだが……」
「少し様子を見ましょう。――きっと時間が経てば何事もなかったようにいつものあんず様に戻りますよ」
「――…わかった」
その内元のあんずに戻ると信じて俺は待った。だがそれから数日が経ってもあんずの記憶が戻ることはなかったんだ…――
「こんのすけ、一体どうなってるんだ!あの薬、まさか数日どころか全てを忘れるようになっていたんじゃないだろうな!俺を騙したのか!」
「そんな大それた事するわけがないじゃありませんか!しかし…鶴丸様との事を忘れるなんて…ありえないことなのですが…」
「ならどうしてこんな事態になっているんだ!」