第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
いや、それはない…
あんずが混乱している様子が痛いほどに伝わってくる。恐らくたった今告げられた事なんだろう。
なら、きみは一体…俺に何の話をするつもりだったんだ…?きみの表情を見る限りただの世間話をする感じには見えなかった。
――って、今はそれどころじゃないな…
霊力の枯渇か…最近あんずが辛そうにしていたのはこれが原因だったのか…疲れているのはわかっていた。だからできるだけ多く休ませてやりたかった。休めばまた元気なあんずに戻ると思っていた。
――だが、そうじゃなかったんだな。
突然突きつけられた事実に、俺は情けないことに体が硬直して動けなくなっていた。
一番辛いのはあんずなのに。
大丈夫だ、きっと手立てがあるからと抱き締めて少しでも不安を取り除いてやりたいのに、足に根が張ったように動けない。
「鶴丸様が不適合となると、他の刀と…あんず様と最も相性が良い刀剣と契りを交わし、それが上手く行けば今までと変わらない生活が出来ます。万が一上手くいかなかった場合は次に相性の良い相手と…――でも大丈夫です。今まで全て適合しなかったという事例はありません。――それにもし実行後気持ち的に辛いと言うことであれば、薬で記憶も抹消できますし、勿論あんず様と契りを交わす刀剣にも飲んでもらえば今までと同じように過ごすことも、」