第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「こんのすけっ今の話は本当なのか…ッ!」
血相を変えた表情の鶴ちゃんがこんのすけに掴みかかった。
「鶴ちゃんっ」
「つ、鶴丸様…どこから聞いていたのかは存じ上げませんが、今の話は全て…、残念ですが、誠でございます……」
「……っ」
がっくりと膝を落とした鶴ちゃん。その様子から、全てを聞かれてしまっていたんだと推測できる。
鶴ちゃんのこんのすけを掴んでいた手に力がなくなったのか、手からすり抜けるように落ちたこんのすけは畳の上にポスリと着地した。
「鶴丸様…」
暫く顔面蒼白で焦点が合わない瞳を一点に向けていた鶴ちゃんだったが、ぐっと握りこぶしを作ったまま絞り出すように口を開いた。
「こんのすけ……記憶操作の薬とやらは、当事者しか飲めないのか…?」
「っ、いえ、どなたでも可能ですがそれが何か…」
なぜそんなことを聞くのか理解する前に鶴ちゃんはこんのすけに「二人で話をさせてくれ」と言った。
いつも私の前にいるとき、こんのすけは生き生きとした表情をしていた。ふわふわした耳と尻尾は、その感情と比例するかのように上に向いていたが、今は両方とも弱々しくだらりと垂れ下がっている。