第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「鶴丸様が不適合となると、他の刀と…あんず様と最も相性が良い刀剣と契りを交わし、それが上手く行けば今までと変わらない生活がおくれます。万が一上手くいかなかった場合は次に相性の良い相手と…――
でも大丈夫です。今まで全て適合しなかったという事例はありませんから!それにもし実行後気持ち的に辛いと言うことであれば、薬で記憶も抹消できますし、勿論あんず様と契りを交わす刀剣にも飲んでもらえば今までと同じように何事もなかったように過ごすことも可能で、」
ミシリ……――ッ
耳を疑うようなこんのすけの話の途中で、突然聞こえた廊下の床が軋む音。その時思い出した。鶴ちゃんと約束をしていたことを…
酷な話をされて、彼との約束の事がすっかり頭から抜け落ちてしまっていた。時計を見ると約束の時間をとうに過ぎてしまっている。
「鶴丸様…っ」
スッと開けられた襖の向こうに鶴ちゃんが立っていた。こんのすけが焦り彼の名前を言う。私も彼の姿を目にした途端、血の気が引いてこれ以上ないくらいに心臓がバクバクと音を立て始めた。
いつから…
いつから聞いていたの…?