第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「簡潔に申し上げますと……霊力が枯渇している状態で契を交わすと、その男士様の神気が審神者様の霊力を補う役割を果たします」
「なら…どうして私は…」
「それは…必ずしも成功するものではないからです」
「じゃあ、これから成功するかもじゃないですか……あの、シたのは一度だけなんです。それにそれから大分経ってますし…ッ」
「……あんず様、一度で、…一度で十分、なんです…」
「そんな…そん、な…――ッ」
「残念で、す…」
こんのすけが涙を零しながら息を詰まらせ、とても辛そうに言うものだから…ああ、そうか…もう私には何の手立ても残されていないのだ、とそう思った。
「契を交わした次の日、熱が出ませんでしたか?その熱は、鶴丸様の神気があんず様の体内に入ったことで出た熱です。あんず様の身体が一時的に拒否反応を起こしていたんです。その後適合さえしていれば…解熱後、霊力が漲っているはずでした……ですがあんず様は今も枯渇している状態です。それは鶴丸様の神気では不適合だった、と言わざるを得ない。本当に……残念、です…っ」
「っ、」
確かにこんのすけの言う通り、次の日熱が出て私は寝込んだ。でもそれは雨で濡れたから風邪を引いただけかと思っていたのに。
違ったんだ…