第1章 君の中に墜ちる
それに、さっきまで自分に置かれた状況を受け入れられず泣いていたというのに、ここにきて本当にこれで良かったのか、と迷いが出てきた。
…色々と思い悩んでいると、大倶利伽羅が「拝命した」と応えた。
拝命した、ということは、体を繋げることについて承諾したということ…?
信じ難くてバッと顔を大倶利伽羅に向けると、大倶利伽羅は迷いのない瞳で真っ直ぐにこちらを見据えていた。
「あの…何度も言いますがこれは命令ではありません…だから無理にお願いしたくない…大倶利伽羅に少しでも不快な気持ちがあるなら見捨ててくれたほうが…」
「あんたはまだそんな事を言うのか」
「だって……来るのが遅かったから、てっきり嫌だったんじゃないかって…だったら成功するかどうかもわからない事やめた方が、」
「違う、国永に掴まっていただけだ。遅くなってすまなかった」
そう言いながら大倶利伽羅は私と距離を詰め、濡れている頬をそっと親指の腹で拭った。少しアルコールの匂いがした。鶴丸にお酒を付き合わされていたのだろうか、それなのに来てくれた…?
初めて触れられたその手は温かくて…そしてその優しい手付きに心臓が勝手に高鳴ってしまってどうしたら良いのかわからなくなった。