第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
【#2 足元が崩れる日】
夕餉の場で隣に座ってきた鶴ちゃんに話があると伝え、軽く了承してくれた彼を迎えるため私は部屋で心の準備をしていた。
今日で恋人としての彼との関係は終わるだろう……そう思うと胸の奥がきゅうっと悲しみに震える。
泣いては駄目だ。鶴ちゃんが本当に好きな人のところに行けるように、笑って送り出してあげないと。少しでも冷静に話が出来るように、気持ちを落ち着かせるために温かいお茶をゆっくりと喉に流し込む。
すると突然煙とともにこんのすけが現れた。
「あんず様突然申し訳ありません」
「っ…ビックリしたっ、こんのすけ?こんな夜に珍しいですね、どうしたんですか?」
「至急話があり……今お時間よろしいですか?」
いつもなら用があっても夜遅くには訪ねてこず、翌日にしてくれるのにどうしたんだろう。そんなに急ぎなのだろうか。まさかこの本丸に、刀剣男士の身に何か重大なことでも起きたんじゃ…?
こんのすけのただならぬ雰囲気に胸がざわつく。
ちらりと時計を見ると、鶴ちゃんとの約束の時間までまだ余裕があったので、こんのすけに大丈夫だと伝えた。