第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
とにかく、彼がどういった考えにせよこのまま現実から目を逸らして有耶無耶にしていても自分が苦しいだけだ。
他に好きな人が出来てしまったのなら、その人がいいのなら、私が頑張ったところで結果は同じなのだから。
私が身を引くしかない…じゃないと鶴ちゃんは自分の気持ちを殺してしまうに決まっている。ずっと決断が出来ずにいたけど、鶴ちゃんを開放してあげよう。悲しいけど、鶴ちゃんには幸せでいてほしい。いつも笑っていてほしい。私は鶴ちゃんに沢山の幸せを貰ったから。
彼の足枷にはなりたくない。鶴丸国永という刀の主。それは揺るぎのない事実であり、それだけで十分幸せで誇れることなんだと、自分に必死に言い聞かせた。
そうやって彼の幸せを願うことを心に決めた時もシトシトと雨が降っていた――