第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
私室に駆け込みしっかりと襖を閉めてから、ポケットに突っ込んだ写真をもう一度取り出す。
「やっぱり、鶴ちゃんだ……」
そこには、前に簪を選んでいた彼女と鶴ちゃんが楽しそうに並んで歩いている姿が、写真の隅に写っていた。アイスクリームを嬉しそうに頬張る短刀達の後ろに写る人物は、小さいけど間違えるはずがない、確かにあの時の彼女だった。
万屋街で鶴丸国永を見掛けることは良くある。だから写真に彼が写り込んでいたとしてもさほど珍しくはない。
写真ではどこの本丸の刀なのかまではわからないのが普通だけど、私は一度彼女と一緒にいる鶴ちゃんを見ているから、この鶴丸国永はうちの本丸の鶴ちゃんなんだとわかってしまった。
彼女のことを知らない刀剣達に、このことがわからなかったのは不幸中の幸いだ。
着物を着ている彼女の髪には簪が飾られている。私が見た簪とは違う簪に見えるけど、きっとこの簪は鶴ちゃんがプレゼントしたものなのだろう。
だって写真に写っている彼女はとても幸せそうに見えるから…
咄嗟に持ってきてしまったその写真を捨てるわけにもいかず、私は唇を噛み締めながらそっと私室の引き出しに仕舞った。