第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「……そうかい?きみがそう言うなら夜にまた来ることにする」
ポンポンと私の頭を優しく叩いてから部屋を出て行く白い彼の背中を見送った。いつもとなんら変わらぬ優しい鶴ちゃんだった。対して私は悟られぬように笑顔を取り繕ったけど、引きつっていなかったかな、変に思われなかっただろうか。
そして夜も更け…
そろそろ来てくれるかな、と思いながら二人分のお茶を用意していると、約束通り鶴ちゃんが私の私室を訪れた。ちゃんと約束を守ってくれたことに安堵する。
「あ、鶴ちゃん、ちょうどお茶を用意してたの」
「おっ!グッドタイミングってやつだな」
「そこ座っててね。今持っていくから」
温かいお茶が入った湯呑とわらび餅をお盆に乗せて、鶴ちゃんの隣に座りテーブルにそれを並べる。
昼間嘘をつかれたことを引きずってしまいちゃんと笑えてたかわからないけど、美味しいね、と言い合って、他愛ない話をしながら仲良く一緒に食べた。
「お茶淹れ直してくるね」
空になった鶴ちゃんの湯呑が視界に入り、彼の湯呑を持って立ち上がろうとしたら、くらっと脳が揺れたような感覚がしてよろけてしまった。