第3章 儚く切ない記憶の中で《後編》
「大丈夫か?あんず……もしかしたら……疲れというより精神的なものから来たんじゃないのか…」
「っ、……いえ……最近眠れてなかったから、きっとそのせいです。だから大丈夫…」
「……何にせよあいつと二人できちんと話をした方がいい。あいつに限ってまさかとは思うが…俺からは…何も言わないほうがいいだろう?」
「……はい。ちゃんとお話します…」
「そうしてくれ…」
その後は二人何を話す訳でもなく気まずい雰囲気のまま本丸に帰った。
蜂須賀さんと別れてから何事もなかったように光忠さんにお醤油を渡すと、柔らかな笑みを浮かべながらお礼を言われた。そして何も知らない彼は私に尋ねる。
「鶴さんに会えたかい?」
「……っ!、あ、いえ!万屋街は広くて、鶴ちゃんには会えませんでした」
「そっか、それもそうだよね。……全くどこで何をしているんだか鶴さんは」
「色々見たいものとかあるんだと思いますよ」
「そうなのかなぁ〜。あ、さっき焼きあがったカップケーキがあるからあんずちゃん持っていったらいいよ。それともここで食べていくかい?」
「ありがとうございます。今日は部屋でゆっくり頂きますね」
「オーケー!今用意するからちょっと待ってて」