第1章 君の中に墜ちる
私はなんて事を言ってしまったんだ。
素直に私の霊力と大倶利伽羅の神気の相性が良い事を伝えれば良かったものを。
「と、とにかく…これは命令ではありませんので、ごっご検討頂けたら幸いです…」
「…」
自分が発した見苦しい言葉に半ばパニックになってしまい、何を言ったらいいのかわからなくなった。
その後、大倶利伽羅がどういった表情をしているのかなんて容易に想像出来てしまい、怖くて彼の顔を見られないまま部屋を後にした。
そして──
準備を整えその時が来るのを緊張しながら部屋で一人待ったが、0時を過ぎても大倶利伽羅が現れることはなかった。
…そりゃそうだ。
いくら主に忠実な刀剣男士といえども誰が好きでもない女を抱こうと思うのか。
これで良かったんだ、これで…
後、約1ヶ月強か…
審神者を引退するその時まで、せめて残された時間で皆と沢山思い出を作ろう。
ここを立ち去る時は…、皆になんて言おう?結婚することになった、とでも言おうか…
「ぅっ…ぐすっ…」
受け入れたつもりでいたのに、覚悟していたはずなのに涙が止まらない。なんて情けないのか…
一度流れた涙は堰を切ったように溢れ出し、頬を流れていった。