第1章 君の中に墜ちる
「…断ったら、あんたはどうなる」
「そ、その場合は他の方法で何とかします…だから気になさらないで下さい。大倶利伽羅が断ったとしても私はあなたを咎めたりしません…」
霊力が底をついたら私は死ぬ、とはどうしても言えなかった。それを言ったらきっと彼は断れなくなる…不器用だけど心根の優しい大倶利伽羅は、私が死ぬと知ってしまったら例え嫌でもきっと部屋に現れるだろう。無理強いだけはしたくない。あくまで相手の気持ちを尊重したい。
大倶利伽羅も断ったらどうなるか聞いてくる辺り、きっと私とそういう事をするのが嫌なのだろう。だからそうせざるを得ない状況を作ってしまうのは余りに気の毒だ。
それでも…
結局は大倶利伽羅に判断を委ねるなんて、私は自分では何も決められない意気地なしの卑怯者だ…
「何故俺なんだ」
突然の大倶利伽羅のゆくりない問いに唖然とする。
どうやって大倶利伽羅に伝えよう…そんな事ばかり思案していてそこまで頭が回っていなかった。
「こっ!好みだからですっ!」
ピシリと凍り付いた空気…
更に顔を歪ませる大倶利伽羅が視界に入り慌てるも、一度発した声は二度と取り消せない。