第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
もしかしたらそうじゃないのかな、なんて思っていたが、刀剣男士が存在する政府管轄のこの場所というか空間?にそんなものまであるなんてどうしても信じがたくて、考えないようにしていた。
だけど、鶴ちゃんに連れ込み宿などとはっきりと言われると途端にとんでもない生生しさを感じてしまう。
「出会茶屋ともいうんだが……きみの時代ではラブホテルと言うらしいな」
「よく、知ってる、ね……」
「ああ、いつかきみと来たかったから…何度か偵察にきたことがあるんだ。今日は予想外だったが、……じゃないな、この天気にかこつけてきみを俺だけのものにしたかった」
「……っ」
鶴ちゃんがそこまで私を想っていてくれたなんて…
あの綺麗な女性と初対面じゃない感じがしたのは何度か偵察に来ていたからだったんだ。私ったらあんな綺麗な人と仲よさげに話していたから、どういう知り合いなんだろうって一人でヤキモチを焼いてしまっていた…
「きみが、……あんずが好きだ。大事にする。だから……俺だけのものになってくれないか」
急な展開にドキドキして黙っている私の隣に鶴ちゃんがそっと座る。
この先を想像して手のひらどころか脇や胸元に汗が滲んだ。