第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
バスローブから覗く彼の素肌に釘付けになってしまった。
「あんず?」
名前を呼ばれまたハッとする私。
妙に恥ずかしくなってしまい目の前の色っぽい彼を見ることができなくなった。目を泳がせていると鶴ちゃんがどうしたんだ、と聞いてくる。
鶴ちゃんの胸元が見え過ぎてエッチです、なんて言えるはずもなく、動揺しまくりの私は聞くつもりがなかった事なのにうっかり口を滑らせてしまった。
「え、えっと……鶴ちゃん…もしかして、ここって……」
「ん?ここがどうかしたか?」
「あ、やっ、なんでもないっ!忘れて下さいっ」
「何でもなくはないだろ?何か言いかけてたぞ」
誤魔化そうとしたけど鶴ちゃんは気になるみたいで、スルーしてくれそうにない。こうなったら聞くしかないと思い言葉にする。
「あまりにも素敵だから高級な温泉?旅館なのかなって思ってたんだけど……そうではないよ、ね……勘違いだったらごめんなさい。ひょ、ひょっとしてここって…」
「……ああ、恐らくあんずか想像している通りだ。ここはいわゆる、連れ込み宿ってやつだな」
「連れ、込みっ!」