第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
一つしかないベッドを目の当たりにした途端、この状況がやけに厭らしく感じてしまい、さっきまで泊まりたいなぁなんて思っていた自分が急に恥ずかしくなった。
泊まりたかったのは部屋が素敵だったからだもん!と心中で意味のない言い訳をしていると、シャワーの音が微かに聞こえた。やましい気持ちなんてこれっぽっちもなかった筈なのに、シャワーの音を聞いていると不思議と悪いことをしている気分になってしまう。
気を紛らわすために傍に置いてあるテレビのリモコンで電源ボタンを押したはいいが…大画面のテレビか映し出したものは、想像もしていなかった信じられない映像だった。
『ああん、ああんっ!あっあっ!!気持ちいいっ……アッ!!!あああ……ッ』
足首を掴まれ股を大きく開いた体制の女性が、男性に目一杯突かれている光景。経験はないが何をしているのかは一目瞭然だった。
「はひっ?」
てっきり電源ボタンを押したと思っていたけど、間違えてビデオ、もしくはアプリか何かのボタンを押してしまったのだろう。
慌てて電源を消そうとリモコンを手に取るが、自分で思っているよりかなり動揺していたらしい。覚束ない指が押してしまったのはまさかのボリュームボタンだった。