第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
【#6 連れて行かれた先は…】
鶴ちゃんと恋仲になってから数週間が経過し、すっかり彼が隣にいることが当たり前になった頃、近侍も長谷部さんから鶴ちゃんへと暗黙の了解で変更された。
今日は政府の定期会議があった。
定刻に終わり、政府施設を出て休憩がてら甘味処でお茶をしてからの帰り道、突然雨が降ってきて私と鶴ちゃんはいつかのように雨宿りをしている。
「まさか雨が降るなんてな…」
「うん…でもなんか、鶴ちゃんと雨宿りすること多い気がする」
「ははっ、確かに前にも、とういうか何度かこういうことがあったな!」
思えばあの時は、鶴ちゃんへの恋心を自覚した日でもあった。
「ごめんね、私雨女なのかなあ」
「言われてみれば…あんずとは雨の日の思い出が多い気がするな。だが、俺が雨男なのかも知れないぜ?」
「鶴ちゃんが雨男?まさか!鶴ちゃんは晴れ男代表って感じがするけどな…」
「まさかの二人ともかも知れないぞ」
以前のように休憩所がある訳でもなく、今は大きな木の下に二人身を寄せ合い他愛のない話をしながら雨が止むのを待っている。
だけど、一向に止みそうにない雨に立ち往生していた。