第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
葉月さんの前で兄みたいなものだと言ったのは本心じゃなかった…鶴丸さんの瞳は嘘を言っているのでも、驚かせようとしているようにも見えない。真剣そのものだった。
「……すまん、これじゃあ弱っているきみにつけ込んだみたいだな……迷惑なら忘れてくれて構わない」
「つ、つけ込むなんて…そんなことありません…それに迷惑じゃない……だって…私も鶴丸さんが…」
「俺が…?」
私の返事を期待に満ちた顔で待つ鶴丸さんに「はい、私も鶴丸さんが好き…です」と答えると、彼はその綺麗な顔を赤く染めた。
「参ったな…きみに好きと言われることがこれほど嬉しいとは………なあ…もう一度口吸いしてもいいかい?」
「っ、」
「あんずが俺の恋人になったことを実感させてくれないか」
「こ、こいび、っ」
鶴丸さんの手がそっと頬に添えられ、甘さを含んだ眼差しが私を捕らえる。そして唇がまた重なった。今度は私の唇ごと覆うようにしっかりと。
ふにゅふにゅ、と何度も啄まれた後、後頭部の髪に指を滑り込ませて固定され、ぬるりと口内に滑り込んで来る熱い舌。
「はっ……ま、……つ、るま……っ」
「ちゅ……待てないに……ん、決まってるだろ」