第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
私の体から出た音ではないです、と恥ずかしさの余り鶴丸さんに弁明しようとすると、鶴丸さんは目を見開き、しまった!というような顔をしていた。
まさか…
このお尻の下のクッションは鶴丸さんが…?
「鶴丸さん!?鶴丸さんがこれ仕掛けたの!?……ひ、酷いですっ……どうして…っ」
「それは…ッ」
よりによって悲しい出来事があったこんな日に…まさかいたずらを仕掛けられていたなんて思ってもいなくて、頭が混乱するのと同時に落ち着いていた感情がまた悪い方へとぶり返す。
「ふ、…ひ…ひどいです…ぅ〜〜っ!だから座っててって言ったんですね……酷い……鶴丸さん……あんまり、です……〜〜っ」
勝手に出た涙でどんどん視界が歪んでいき、両手にお茶を持ち焦った様子で駆け寄ってくる鶴丸さんがぼやけて見えた。
「すまん!!それのことをすっかり忘れていたっ!確かにクッションを仕掛けたのは俺だが、今そのためにきみに座るように仕向けたわけじゃない!あんずが政府に呼ばれてただ事ではないとこんのすけから聞いて、帰ってくるきみを励まそうと思っただけなんだ…言い訳に聞こえるかも知れないが、本当に違うんだ!」
「はげ、ます…?」