第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
突然の私の行動に、鶴丸さんは驚いたのか一瞬体を強張らせていたけど、「よしよし、大丈夫だ」と言いながらすぐに私の背中に手を回し包み込んだ。
そしてそれと同時に大きな手が私の後頭部を繰り返し優しく撫でている。
「何があったのかは知らないが、きみが話したくないのなら話さなくていい…大丈夫だ、きみの気が済むまで俺はここにいるから安心してくれ」
「うっ……ひん、……く……ん…っ」
鶴丸さんの優しさが感情のセーブを効かなくさせ、私はただただずっと泣いていた。蜂須賀さんの前では我慢出来ていたのに…
「……っあ、の…、ひっ、ぅ」
「ほら…落ち着け。焦らなくていいぜ」
何か話さなければと口を開くけれど、意思とは反して嗚咽が止まらなくて言葉にならない。そんな私を鶴丸さんは困ったような顔をして抱きしめている手でポンポンと背中を叩いた。
…
…
ずっと止まらなかった涙が止まり、漸く落ち着いた頃には大分時間も経ってしまっていて、鶴丸さんの装束は私の涙で随分と濡れていた。ずっと泣いていたせいか体がブルッと身震いしたのを鶴丸さんが気付き、自身の白い羽織を被せてくれる。
「少しは落ち着いたみたいだな」
「…は、い……ごめんなさい……」