第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
「そう、ですが…何か不備でもございましたでしょうか…」
「不備なんてものじゃないよ!これは関係者以外持ち出し禁止の資料なんだぞ!」
「は………あ、の……でもそんなことは一言も…」
「万が一流出でもしたら君に責任がとれるのか!?ええっ?提出期限は過ぎてるわ、部外者の君が作成したわでこっちは総動員でその尻拭いに追われているんだよ!」
期限も過ぎている?
葉月さんとのやり取りを思い出す。確かに期限は守ったはずなのにどうして…自分の置かれている状況に訳がわからず、葉月さんの方を見るけど、葉月さんは私の方に視線を向けることはなかった。それどころか…
「ここにいる葉月の話だと、君は事情を知っておきながら手伝うと言ったそうだね?」
「た、確かにそうですが、持ち出し厳禁とか、そのようなことは聞いておりません。…それに期日だって期限内に提出したはずですし……」
「葉月、お前と言っていることが違うんだが、この審神者の前で説明してもらえるか」
「………はい。…彼女は…仕事に追われている私を助けたいと言ってくれました。私は持ち込み禁止資料だということも説明した上で断ったのですが、どうしても力になりたいと。それに自分がやったと言わなければわからないから大丈夫ではないか、とそう提案してきました」