第2章 儚く切ない記憶の中で《前編》
「こんのすけもよく分からないのですが、とにかく大変お怒りの様子で、すぐあんず様を連れてこいとっ!あんず様、何か政府の気に障ることでもされたんですか!?」
「してないよっ私にもわからない…」
急に政府から呼び出しがかかった。
訳も分からず急いで支度を整えて、蜂須賀さんと共に政府施設に赴く。直ぐに案内された部屋で、付き添いはこちらで待機願いますと言われ、心配そうな蜂須賀さんに大丈夫だよ、と伝えそこで別れた。
ただ事ではない雰囲気の中、再び案内された部屋に入ると、いかにも重役ともいえるような男の人が2人ソファーに腰かけており、その斜め後ろに葉月さんが俯いて立っている。
俯いているから葉月さんの表情こそ見えないが、なんだか憔悴仕切ったような、そんな感じがした。
そして部屋に入った途端、上役の男性が威圧的な態度で質問を投げかけてきた。
「単刀直入に聞くが、この資料は君が作成したものかね?」
テーブルに投げつけられるようにして置かれた書類の束。
恐る恐る手に取った書類は、確かに私がこの間葉月さんから手伝わせて貰ったものだった。
どうみても和やかではないこの雰囲気に、どこか不備があったのかと血の気が引いていき、それと同時に心臓が早鐘を打っていく。